32GBが5万円!? メモリ高騰の理由3つ
パソコンのメモリ価格が急騰しています。2025年12月時点では、32GBのメモリキットが5万円近くに達し、わずか数ヶ月前の2倍以上になっている製品も珍しくありません。ノートPCにメモリを増設したい人や、自作PCを組もうと準備していた人にとっては衝撃的な状況です。
この価格高騰は、単なる円安や一時的なセール不足ではありません。メモリ市場の構造そのものが大きく変化し、供給と需要が大きく崩れていることが原因です。
この記事では、最新の市場データをもとに「なぜメモリがここまで高くなったのか」をわかりやすく解説します。
結論
メモリ高騰の理由は大きく 3つ です。
- AI需要の急増でDRAMが不足している
- DDR4の生産終了と供給減少が加速している
- DRAMメーカーの供給戦略の変化(高付加価値品へのシフト)
この3つが同時に進んだことで、DDR5だけでなくDDR4にまで価格高騰が波及しています。
2025年後半からは上昇スピードがさらに加速し、必要であれば早めの確保が推奨される状況です。
この記事を読むメリット
- なぜメモリが2〜3倍に跳ね上がったのか背景が理解できる
- 新PC購入・メモリ増設の判断材料を得られる
- 今後の値動きに備えて買い時や節約策を検討できる
初心者でもわかりやすいように、専門用語は控えめにしています。
AI需要の急増による供給ひっぱく
2025年はAIサーバー需要が爆発しました。ChatGPT・Geminiなどの大規模モデルの学習には、
1台のサーバーに1TB以上のメモリを搭載するケースが一般的 です。
この「超・大容量DRAM」の需要が世界中のデータセンターで発生したことで、メモリの生産ラインが一気にAI向けへ集中しました。
その結果、
- 一般ユーザー向けのDDR5の在庫が枯渇
- 市場に出回る量が激減
- 価格が急激に跳ね上がる
という流れが起きています。
さらにTrendForceの調査でも
「AIサーバー需要が供給能力を上回り、メモリ不足が継続している」
と指摘されています。
工場の生産能力は数ヶ月では増やせないため、AI需要に吸われる形で一般向けDRAMの供給は細り続けています。
これが2025年のメモリ高騰の最大要因です。
旧世代DDR4の供給減少と価格逆転
メモリ高騰はDDR5だけではありません。
実は DDR4も異常値上がり をしています。
背景には、
- 大手メーカーのDDR4生産終了
- 生産能力のDDR5シフト
- 在庫調整の本格化
があります。
2025年秋には、なんと
DDR4 > DDR5の“価格逆転現象”
が起きていました。
たとえば、秋葉原の調査では、
- 「DDR4-3200 32GB×2」が 約34,980円(75%上昇)
- 高容量モデルはさらに在庫薄で入手困難
など、旧世代にも関わらず価格は右肩上がりです。
DDR4が減る → PC市場の大容量ニーズは残る → DDR5に買い替え需要が集中 → 全体価格が上昇
という悪循環も起きています。
DRAMメーカーの供給戦略と販売制限
メモリメーカーは、利益率を優先するために 高価なDRAM(HBM・LR-DIMM)を最優先で生産 しています。
その結果、
- PC向けDDR5は生産ライン縮小
- 単体メモリより完成品PCを優先して出荷
- 単品販売が減り、セット販売が増加
といった状況が生まれています。
とくに2025年は「CPU+マザボ+メモリのセット販売」への切り替えが増え、
欲しい人が欲しいタイミングで買えない市場 が形成されています。
販売店の制限は価格の高止まりに直結し、一般ユーザーにとってはさらに買いにくい状態です。
実際の価格上昇データ
2025年11月後半の秋葉原調査をもとにした実売価格を一部紹介します。
■ DDR5の値上がり(1年で2倍前後)
- DDR5-5600 32GB×2 → 51,780円(137%上昇)
- DDR5-6000 32GB×2 → 55,438円(117%上昇)
高クロックはもちろん、標準的な5600MHzでも数万円の上昇。
■ DDR4の値上がり(旧世代とは思えない価格)
- DDR4-3200 32GB×2 → 34,980円(75%上昇)
在庫の薄さと生産終了の影響で、旧世代とは思えない価格に。
これらの数字を見ると、価格高騰が一時的ではなく構造的であることがわかります。
メモリは「必要ならすぐ買う」ほうが得
各調査機関は、
- 2026年以降も価格は高止まり
- DDR5は特に下がりにくい
- 生産ライン増加は間に合わない
と予測しています。
実際、2025年には 1週間で10〜20%値上がり した例もあります。
もし6ヶ月以内に
- PCを新調する予定
- メモリを増設する予定
- 大容量モデルが欲しい
という場合は、
早めに買っておくほうが安全です。
とくに32GB以上のメモリはさらに値上がりする可能性が高いため、「迷っているうちに価格が跳ね上がる」リスクがあります。
■ 比較的買いやすいのは?
- DDR5-4800
- DDR5-5200
- DDR5-5600
このあたりの「流通量が多いモデル」は、価格の上昇幅が比較的緩やかです。
一方で6000MHz以上や32GB×2はとくに高騰中です。
まとめ:必要なメモリは待つより確保が正解
過去にもメモリ高騰の時期はありましたが、2025年はAIサーバー需要が急増する「特別な年」です。
在庫の回復は簡単ではなく、下落のタイミングを正確に予想するのは困難です。
そのため、
- 必要なら早めに買う
- セール情報を定期的に確認する
- DDR4ユーザーも値動きに注意する
この3つを意識して、賢くメモリを選びましょう。
今後もPCパーツ市況は大きく変動するため、定期的なチェックが重要です。

