ChatGPTエージェントモードの可能性と課題

ChatGPTがさらなる進化を遂げました。
今回紹介する「エージェントモード」は、AIが自ら判断し、複数のツールを組み合わせてタスクを実行してくれる機能。
まさに“AIアシスタント”から“AIエージェント”への本格的な一歩といえるでしょう。
では、具体的に何ができて、どこが課題なのか?実際のデモや体験談をもとに、その実力と未来の可能性を深掘りしていきます。
エージェントモードとは何か?
ChatGPTエージェントモードは、OpenAIが提供する有料プラン向けの新機能です。
これまでのようにユーザーが1つ1つ指示を出すのではなく、AIが自ら判断し、必要なツールを組み合わせて複雑なタスクを遂行してくれます。
たとえば──
- 楽天トラベルで条件を指定してホテル検索
- 複数サイトを横断して映画の上映時間をまとめる
- ラーメン店を探し、Googleマップにピン止め
こうしたことを、AIがブラウザを開き、ページを操作し、必要な情報を集めてリスト化するという流れで完了させてくれます。
「情報検索」から「アクション」へ進化
従来のChatGPTは、主にテキスト生成やアイデア出しに使われるものでしたが、エージェントモードでは「行動するAI」へと進化しています。
さらに興味深いのはアカウント連携機能。
- Gmailから過去のメールを分析して改善提案
- X(Twitter)の投稿内容をスプレッドシートにまとめる
といった、“あなた専用のアシスタント”としての使い方も可能になってきています。
また、途中で指示を変更したり、AIの操作を人間が引き継ぐといった柔軟な共同作業も可能。これにより、AIとの新しい働き方が見えてきます。
とはいえ課題も山積み:時間・精度・制限
魅力的なデモ動画とは裏腹に、実用面ではまだ発展途上。いくつかの課題も見えてきました。
実行時間の問題
- 映画館検索:40分
- パワーポイント作成:1時間(しかもデザインはシンプル)
複雑な処理になると、思った以上に時間がかかるケースが少なくありません。
セキュリティと制約
- 支払い処理などの機密性の高い操作は不可
- カスタムステッカー発注などの注文完了まではできないケースも
アウトプットの精度
- 細かい要望を反映させたい場面では自動進行の中に反映しきれないことも
- 複雑なワークフローではAIが混乱するケースも
汎用型の強みと特化型との違い
エージェントモードは「汎用型AI」として設計されています。
そのため、資料作成におけるデザイン性や品質など、特化型ツール(例:JasperやJenspark)にはまだ敵わない部分もあります。
とはいえ、幅広いタスクを1つのAIでまとめて処理できるという点では、エージェントモードは大きな強みを持っています。今後、プロトコルの標準化(例:MCP=Multi-Agent Communication Protocol)により、他のAIツールとの連携が進めば、その可能性はさらに広がるでしょう。
私たちの働き方はどう変わる?
もし将来、今は面倒で時間のかかる作業が、AIによって完全に・安全に自動化されるとしたら──
あなたの仕事、そして時間の使い方はどう変わるでしょうか?
考えるべきは、「AIにどうお願いするか」と「AIの提案をどう判断するか」。
つまり、“AIをうまくディレクションする力”こそ、今後の人間に求められるスキルとなっていくのです。
まとめ:可能性は無限大、ただし過剰な期待は禁物
ChatGPTのエージェントモードは、AIの進化を象徴するような機能です。
ただし、現時点ではまだ万能ではなく、得意・不得意の差も大きい。
しかし、こうした技術は信じられないスピードで進化しています。
今後どんなことが可能になるのか、そしてそのとき私たち人間はどう変わるべきか──
目を離せない領域です。
あなたへの問いかけ:
あなたの仕事の中で、今は複雑で手間のかかる一連の作業。
もしそれがAIエージェントによって、完全かつ信頼できる形で自動化されたとしたら…
あなたはその時間を、何に使いたいですか?
そして、どんな働き方をしたいですか?
次世代のAIとどう向き合うか。
それが、これからの時代を生きる私たち一人ひとりに問われているテーマなのかもしれません。