「AIで楽になるはずが…?」仕事時間が増えた驚きの3つの理由
AI(人工知能)は本来、人間の仕事を楽にし、
より充実した生活を送るために開発された技術です。
作業を自動化して生産性を高め、
空いた時間を趣味や休息に充てられる――
そんな未来を多くの人が期待していました。
しかし、現実は少し違いました。
OpenAIがChatGPTを公開して以降、
生成AIの導入は爆発的に広がり、
2024年には企業の約65%が導入するまでになりました。
この「AI革命」により、
私たちの働き方はどう変わったのでしょうか。
結論:AIで効率化しても労働時間は増えている
エモリー大学の研究では、
AIを多く使う職種ほど労働時間が増える傾向があると報告されています。
特にChatGPT登場後、
AIへの依存度が高い仕事では週あたり約3.75時間も
労働時間が長くなっていました。
「AIで楽になるはずが、なぜ時間が増えるのか?」
その答えは、次の3つの理由にあります。
この記事を読むメリット
- AI時代に労働時間が増える背景を、データで理解できる
- 「効率化の裏で何が起きているのか」を知ることで、働き方を見直せる
- ChatGPTなど生成AIの影響を学び、今後のキャリアに活かせる
理由①:AIで生産性が上がるとタスクが増える
AIは確かに作業を効率化します。
1時間かかっていた資料作成が、
AIツールを使えば30分で終わる――そんな例は珍しくありません。
しかし、空いた30分は休憩ではなく「別の仕事」に充てられます。
つまり、「速く終わる=もっとやれる」と見なされてしまうのです。
実際に、AIを多く活用している職種では
他の職種より労働時間の増加幅が約2倍に達していました。
生産性が上がれば仕事量も増える――
これは“効率化のパラドックス”とも言える現象です。
理由②:AIによる監視で休むヒマがなくなる
リモートワークの普及とともに、
AIによる従業員監視システムが急速に広まりました。
AIは、PC操作の記録、作業スピード、チャット返信時間などを
リアルタイムで分析し、上司が進捗を可視化できます。
「返信が遅い」「作業が少ない」といった警告が自動で出る仕組みもあり、
社員は常に“見られている”状態です。
エモリー大学の調査によると、
AI監視の強い職場では労働時間が明確に増加。
一方で、フリーランスのように自分で仕事を管理する人には
この傾向が見られませんでした。
つまり、AIによる監視下で働くほど、自由時間が減るのです。
理由③:効率化の利益が労働者に還元されない
AIによる効率化は、本来「余暇の増加」や「休暇制度の拡充」に
つながるはずでした。
しかし現実には、AIで生まれた余裕や利益の多くは
企業の利益として吸収されています。
時給はわずかに上昇しても、
労働時間の増加分がそれを上回り、
結果として働く人の満足度は低下しています。
いわば、19世紀にウィリアム・ジェボンズが指摘した
「効率化が逆に資源消費を増やす」現象の再来です。
AIによる効率化が進むほど、
人間の時間が奪われている――そんな皮肉な現実が浮かび上がります。
具体例:失われた自由時間はどこへ?
研究によると、ChatGPT以降にAIを使う労働者は
週に約3.75時間の自由時間を失ったとされています。
この3.75時間とは、
家族と過ごす土曜の午後3時間と、
日曜の朝45分の読書時間に相当します。
しかも削られたのは「リラックスや趣味の時間」。
一方でテレビやスマホなどの“受け身の娯楽”はほぼ変わらず、
人々が積極的な休息を諦めていることが分かります。
AIがもたらした「便利な生活」が、
皮肉にも心の余裕を奪っているのです。
AI時代の働き方、私たちは何を選ぶべきか
技術は本来、人間を自由にするためにあります。
蒸気機関も電気もコンピューターも、
人の手を楽にするために生まれました。
しかし今、AI時代の私たちは再び問われています。
「技術の奴隷になるのか、それとも技術を使いこなす主人になるのか」
人間の価値は生産性だけではありません。
笑う、休む、愛する――
そんな“非生産的な時間”こそが人生を豊かにします。
AIが約束した「効率的な未来」を
本当に幸せなものにするためには、
効率だけでなくゆとりと人間らしさを重視する社会設計が必要です。
AI時代の夜明けをどう迎えるかは、
技術ではなく、私たち人間の選択にかかっています。
まとめ
- AIで効率化しても、労働時間はむしろ増加傾向
- 理由は「タスク増加」「監視強化」「利益の偏り」
- 失われた自由時間を取り戻すには、“効率”より“人間らしさ”を重視する視点が必要

